たとえ、この恋が罪だとしても。




「真優!」

入学式も終わり、配られたプリントのクラス割りを見ていると、光太郎が声を掛けてきた。


「また同じクラスだな」

「え!?」

そう光太郎に言われ、プリントを凝視する。


えっと…私は13HR…

ずらっと書かれている名前を追っていくと、確かに同じクラスに光太郎の名前があった。


「…」

ジロっと、光太郎の顔を見る。


「何でそんな嫌そうな顔なんだよ。失礼な奴だな」

ピン!

「痛い!」


光太郎にデコピンをされてしまった。


「行こうぜ。もう皆行っちゃった」

「え…あ、うん」


デコピンをされたおでこを抑えながら体育館を見渡すと、閑散としている。


在校生が後片付けをし始めている中に、お兄ちゃんの姿もあった。



檀上で、女の子と一緒に何やら話をしている。


ベタベタとお兄ちゃんの腕を触りながらー…



イラー…


心に、再び嫉妬芯が湧き上がる。


「真優!早くしろよ!」

「!」


ビク!


体育館の出入り口から、光太郎が呼んだ。


「い…今行く!!」



その声にハッと我に返り、慌てて光太郎の元へと向かった。


体育館の出入り口付近まで行くと、呆れ顔の光太郎が立って待っていた。

「何してたんだよ」

「…別に」

「別にってなんだよ」

「うるさい」

「あ!?」


ぶつぶつ言ってくる光太郎を無視し、さっきとは逆に光太郎を置いて教室に向かう。





「はぁー…」


光太郎に聞こえないように、小さく出た溜め息。




入学式からこんなに嫉妬ばかりしていて、1年間大丈夫なのかなー…






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