たとえ、この恋が罪だとしても。
去って行くお兄ちゃんの背中を見ながら、そんなことを思っているとー…
「白石先輩のことお兄ちゃんって言ってたよね!?」
ビク!!
「!?」
大きな声で突然言われ、身体がビクっと跳ねてしまった。
周りを見渡すと、いつの間にか女の子達に囲まれていた。
「…」
驚きと、あまりの圧迫感に言葉が出ない。
「名前何て言うの?」
一人の女の子が聞いてきた。
「えっと…白石 真優…です」
しどろもどろに、しかも何故か敬語になってしまった。
「白石ってことは、やっぱり白石先輩の妹!?良いなぁ!!」
「さっきのやりとり、超羨ましかった!!!ほっぺ引っ張られるとかされてみたい!!!」
「!?」
一人が喋ると、一気に囲んできた全員が喋り出す。
「あんなカッコイイお兄ちゃんで羨ましい!!」
「ねぇ、家でもあんな感じでやりとりしてるの!?」
「白石先輩って彼女いるの!?」
どうしていいかわからずに、頭が混乱し始める。
この状況は何!?
「えっと…」
どうしたらいいのかー…
あ、そうだ!光太郎!!
女の子達の隙間から、光太郎を探す。
「あ…」
いた!!
光太郎の姿を見つけたが、光太郎も女の子達に圧倒されているのか茫然と見ているだけ。
だめだ…どうしよう…
「こら。もうSHR始まってる時間だぞ。早く席に着かないか」
「!」
騒がしかった周りが、一気に静かになった。
囲んでいた女の子達の視線が、私の背後に集まる。
ゆっくりと振り返るとそこにいたのは、入学式の前に会った白衣を着た先生。
「入学早々、怒られたくないだろ?」
出席簿片手に立っていた。
「はーい」
「すいません」
先生の登場であっという間に、周りを囲んでいた女の子達が散らばって行く。
あ…私も…
と、思った時には遅かった。