たとえ、この恋が罪だとしても。



「涼真先輩じゃない!?」

「え…うそ!?」

「白石先輩!?」


ガヤガヤと、クラスメイト同士で話していた女の子たちが、教室のドアの元まで寄ってくる。



キャーキャーとピンク色の声が飛び交い、周りが騒がしくなる。


イラ…

「…」


心の中に、ぐるぐると黒い渦が出始める。


「…何しに来たの?」

お兄ちゃんの目も見ずに、そう聞いた。


「入学祝いもかねて今日は外食にするって、さっき母さんが言ってたから伝えに来たんだよ。…てか、何でふて腐れてるんだ?」

お兄ちゃんの手が、私のほっぺを引っ張った。

「!」

周りから、悲鳴に近い声が出た。


まさかの行為に、ビックリして反らしていた目を合わした。



「…バカ」

「!?」


お兄ちゃんは小さな声で言ったつもりだと思うけど、私の耳にはよく届いた。


「ば…バカって何よ!!」

頬を引っ張っている手を、振り払った。



「帰りに正門で待ってる。じゃあな」

言い返した私の言葉を無視し、伝えることだけ伝えるとお兄ちゃんは行ってしまった。




「~~っ」


何、今の!!


引っ張られた頬を押さえる。


あんなこと今までしたことなかったのに!!





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