黒豹プリンスと傷だらけのプリンセス
振り返って彼の顔を見た途端……

私の胸の中では心臓がドックンと跳ね上がった。


「レオパード……」


そう……白衣を着ていて、髪も整えていたけれど。

温かくて優しい声、すらっとした体型、切れ長の美しい目……間違いない。

彼は愛しい私の夫……レオパードだった。




「何、お姉ちゃん。レオパードって……この人は僕の担当のお医者さんだよ」


健はクスクス可笑しそうに笑ったけれど。

私には彼が、パンターのレオパードにしか見えなくて。

レオパード……いや、健の主治医の先生も、私をじっと見つめていた。


「あれ? 先生?」


不思議そうな顔をする健に、彼ははっと我に返り、顔を赤らめた。


「いや……ごめん。健くんのお姉さん、初めて会ったけれど、まさかこんなに綺麗だっただなんて」

「え、あの……」

「あ……初めまして。僕はつい先日から健くんの主治医になった、黒川 雹(ひょう)といいます。実は、健くんに関して、ご家族に報告したいことがありまして」


彼はより頬を赤く染めながら、私に話してくれた。
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