ソラ(仮)
学校近くのファミレスに向かい合わせで座る。
メニューを見ている唯を、不機嫌な顔をして見ている有沙。
「眠いから帰るんじゃなかったっけ?」
「…腹減ったまま、眠れねー」
ペラッとメニューをめくる音が聞こえる。
「じゃあ家帰ってから食べなよ…」
「1人で食っても飯が不味いだろ」
唯が口を尖らせる。
至って本気で唯は言っているらしい。
真剣にメニューを見ている唯からふざけた様子は見られない。
有沙は、思わずそんな唯を凝視する。
“1人で食っても飯が不味いだろ”
知っていた。
1人で食べるご飯の味。
有沙は、人一倍知っていて
それを口にすることが出来なかった。
それを口にした唯への驚き。
きっと唯も知っている。
1人きりの、寂しさと空しさを。