ソラ(仮)
意外じゃないと言ったら、意外じゃない。
普段の静けさから、そういう経験があるのも伺える。
だけど唯の持つ空気が、
…温かいから、
とてもそんな風には思えなかったのだ。
「じゃー、俺、煮込みうどんー」
パタン、とメニューを閉じる。
「倉橋は?」
指はチャイムのボタンに乗せて、一応、と言った感じで唯が聞く。
「あー…じゃあ、ドリア」
「了解」
ピンポーン。
チャイムを押すと、すぐに店員さんが注文を取りに来る。
唯が有沙の分の注文までしてしまう間、有沙はぼーっと窓の外を眺めていた。
みんなまだ会社や学校にいるのか、外の通りに人は少なかった。
美里、心配してるかな。
そんな思いが頭に浮かぶ。
先生のこと教えてもらってそのまま。
鞄も持たず、誰にも何も言わず学校を出てきた。
まあ、美里のことだから分かってるだろうけど。