ソラ(仮)
「…なあ」



有沙が歩いて行くのを見ていた唯が、声をかける。



「ん?」



ポケットから携帯を出そうとしていた有沙は動きを止めて、唯を見る。



相変わらず眠たそうに立っている唯。



ゆっくりと有沙の方へ歩いて来ると、その細い腕を掴んだ。



「な…」




「…腹減った」



「は?!」



一言呟くと、グイッと有沙の腕を掴んだまま歩き出す。



「何?!」



有沙は、身体が斜めになって追いかけてるような状態。



「あたしはお腹空いてないんだけど!」



有沙の叫ぶ声にも聞く耳を持たず。



唯は、スタスタと歩いて行く。



…翔太や颯太郎も自由だし、強引だけど。



ある意味、唯が一番マイペースで強引であろう。



有沙はため息をつくと、抵抗をやめて素直についていった。

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