ソラ(仮)
ほぼ毎日、1時間は授業をサボって有沙は屋上にいる。



それも隠れるようにではなく、堂々と真ん中に座ってぼーっと空を眺めているのだ。



ただ無心に、空を見上げているように見える。



その背中は、いつも寂しそうだ。



「…ただ、サボってるだけ」



静かに、有沙は答える。



「そう?…そんな風には思えない雰囲気だけど」



唯は、視線を有沙から外し料理に戻す。



「どんな雰囲気よ」


「授業をサボりたい、って言うより、外に出たいから屋上にいる、って感じ」



「は?」



「あー…っと」



唯の説明に、有沙の眉間に皺が寄り、

それを感じた唯は首を傾げて考える。



「なんつーか…屋上に行きたい、だからサボる。こんな感じ」



分かる?と、また唯が顔を上げる。
< 16 / 30 >

この作品をシェア

pagetop