ソラ(仮)
どれくらい時間が経ったのか。



それはすごく長かったような気もしたし、短かったような気もした。



とにかく、有沙は人の気配を感じて目を開いた。



電気をつけていなかった部屋は、少し薄暗かった。



耳から外れていたイヤホンからは、まだ音楽が漏れていて

その音が、ぼーっとしていた有沙の意識を現実へと引き戻した。



ゆっくり、身体を起こすと入口にいる人物が見えた。



「あ、いたんだ…」



有沙が呟くと、その人物―リョウは咥えていた煙草を口から離しながら有沙に目を向けた。



綺麗な茶髪に、


切れ長の目。



高い身長に、


細身なのにひき締った身体。



そして



「遅かったな」



心地良い、低音の声。



これに溺れていく女性は少なくない。

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