ソラ(仮)
「リョウ…」

「あいつ、誰?」



相変わらずリョウの冷たい目が有沙を見ている。



思わず逸らした視線。


顔も、背けた。




「目、逸らしてんじゃねーよ」



グイッと、顎を掴まれて顔を無理矢理リョウの方に向かされる。



「ただの、クラスメート…」



小さな声で返す。



怖かった。



有沙は、この冷たい視線が怖かった。



「俺より、そいつが大事?」



微かに、

有沙の視線は泳いだ。



だけど、すぐに首を降る。



「リョウ…、ごめん…、ごめんなさい…」



ごめんなさい、

そう何度も言いながら、リョウの首に腕を伸ばして抱き付く。



はぁー、とリョウがため息をつく。



「有沙」



名前を呼ばれて、顔を上げると重なる唇。



「…二度と同じことすんなよ」



黙って頷き、身体をベッドに沈められた。







そして、またいつものように溺れていく。



求められては、身体を重ねる。



いつだって、そこに感情なんかない。



でも有沙は、それしか1人にならずにすむ術を知らなかった。

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