強引な彼の甘い溺愛に囚われて!

抱き上げたその子の足に付いた砂をほろってヘン顔をするゆきの。

今にも泣き出しそうなその子は途端に声を上げて笑った。


「へぇーなんか親子みたい」

「凪君にもそう見えた?」


どうやら2人して同じことを考えていたらしく顔を見合わせて笑う。

凪君は上体を完全に起こすとあぐらを掻いてゆきのと西野君を見た。


「似合うよね。あの2人」

「うん、ゆき幸せそう……」


子供とバイバイして西野君に手を取られて海へと入っていく。

少しだけ羨ましかった。

私も…准一さんとあんな風に…


なんて妄想をしていると、すっと腕を取られた。

え?と顔を横に向けると凪君がすでに立ち上がっていて、私の腕を引く。


「喉渇かない?なんか買いに行こうよ」

「え?う、うん」


パラソルの下を出て財布を手にすると凪君に腕を引かれるまま後を追う。

海に面してどんっと構えている海の家の前に来て豊富な飲料水を眺めた。


「マキちゃんちょっとここで待っててくれる?俺トイレ行ってくるわ」

「わかったよ。先に飲み物買っちゃうね」


凪君は財布片手にトイレへと足を急いだ。
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