強引な彼の甘い溺愛に囚われて!
「マキ、他に好きな人でもいる?」
「え……」
私の方は見ずに月を眺めながら大理石の縁に腕を掛けながら話す。
見透かされてしまったのだろうか。
でもそんな素振りは一度も見せたような記憶がない。
どうしようかと返答に困っていると、クスッと笑う声が聞こえた。
「何年マキと一緒にいると思ってるのさー?それくらい気づくよ」
ぐいっと左の頬を軽く抓られた。
ちょっと痛い。
「私そんなわかりやすかった…?」
「んー普通はわからない。でも私だから気づいた、かな」
いえいっとピースして見せるゆきの。
そうか…ゆきには全部お見通しってことね。
「で?誰?クラスの人?」
あんまり交流してなさそうに見えて、私の知らないところで誰かいい人いたのかなー?なんて楽しそうな声を出す。
「そんなわけないでしょ!私未だにクラスの男の子と話すのだっていっぱいいっぱいなのに…」
馴染めない私をいつも背中を押して輪に入れてくれるのはゆきのだった。
だからゆきのが知らないわけがないのだ。
「じゃぁ私の知らない人だ?」
「うー……うん?うん」