強引な彼の甘い溺愛に囚われて!
知ってると言えば知ってるけど…知らないと言えば知らない。
私は意中のあの人…准一さんを思い出して思わず顔が火照った。
「相手のこと思い出して恥ずかしくなっちゃった?」
ニヤニヤしながら私の頬を突っつく。
「ち、違う!」
反論してみたが、別に隠さなくてもいいのよー?なんて終始楽しそうである。
「で?で?言ってくれないの?」
「…………。」
ここまで来るとゆきのがしつこく聞き出すまで諦めないのはよくわかっている。
結局は言わざるを得ないんだから早く言ってスッキリしてしまった方が自分のためだ。
「………さん」
「え?」
ポツリと呟くと、ゆきのは私に思いっきり密着して耳を傾ける。
「お義兄さんが…好きなの」
「…………え」
顔を隠しながらそう聞こえるような声の大きさで私は言い放った。
え、と言ったゆきのの顔はわからない。
「お…オニイサン?」
「うん……」
「オニイサンって…あの、お母さん再婚して向こうの連れ子だったっていう義理のお兄さん?!」
「だからそうなんだってば!!」