強引な彼の甘い溺愛に囚われて!
何度も聞き返してくるものだから恥ずかしくなって少し強めに言い返せば、ゆきのの顔はポカーンとして口が開いたままだった。
まさかそんな顔されるとは予想外だったけど…
これから言われることはなんとなく想定内だった。
「悪いことは言わないよ…仮にもお兄さんなんでしょ?」
「そうだけど…好きに…なっちゃったんだ、もん…」
伏せ目がちに私を見て言葉を続ける。
私も途切れ途切れに言葉を紡ぐ。
今更自分だってどうしていいのかわからないのが本心である。
好きになってしまった時点で、きっと止められないのだ。
「んー…そうかぁ。マキが好きになるんだからよっぽど王子様みたいな人なんだろうね、お義兄さんって」
「王子様ー…というより、王様かも」
「え?!お義兄さんってそんな俺様みたいな人なわけ?!」
王様=俺様の方程式がゆきのの中では成り立っているらしい。
「まぁ…見た目に反して俺様かも。でも優しいよ?」
「へぇ~…今度お家遊びに行ってもいーい?引越ししてから一度も行ってないし。その噂のお義兄さんを見てみたい」
お願い~と上目遣いで頼み込んでくるゆきのに私はうっとなってしまった。