強引な彼の甘い溺愛に囚われて!
私は准一さんから顔を逸らして窓の景色に視線を移す。
すると准一さんは笑いを零す。
「ふはっ…そんな別に難しいなら良いのに。マキだってまだ俺に慣れてないんだろ?」
「ごっごめんなさい。准一さん年上だし……なんか色々とまだ実感が持てなくて」
俯きながらもごもごと口篭らせそう言えばしばらくの間が出来た。
車が赤信号で停止したのを機に私はちらっと横を見る。
「……っ!!」
「やっと見たな?そんな緊張すんな。俺だってどうしていいかわからなくなるだろ?」
困ったように眉をハの字にしてくしゃり…とまた私の頭を撫でた。
「ゆっくりで良い……、慣れていけばいいんだから」
フッと微笑んでするりと私の髪の束を撫でる。
その微笑みに、その行動に…
胸が張り裂けそうなぐらい高鳴って、准一さんに聞こえてしまうんじゃないかとも思う。
准一さんはとても優しい。
こんな人が"兄"だなんて。
あんまり考えたくないけど仕方がない。
ママと修哉さんが幸せなんだから。
ズキッ…と胸にトゲが刺さるような気持ちになったが、私も笑顔を作り准一さんに向けた。
そしていつの間にか車は学園の裏門を通っていた。
「はい、これ」
「え…?」
車から出るとき、准一さんから差し出された正方形の紙。