独占したい、甘々に。【完】
「もう逃がさないよ」





悠乃はそう言って歩み寄ってくると、私の腕を引き、優しく抱きしめたのだった。





「ゆ、悠乃…っ!?」





突然の事態に、悠乃の腕の中でみるみるうちに体温が上昇していく。





心臓は次第に鼓動のリズムを早め、私のことをおかしくさせる。





「悠乃っ、とりあえず離して…っ」


「だめ、絶対離さない」





悠乃の腕から逃れようとすると、更に力を込めギュッと抱きしめたのだ。





どうして…どうしてこんな時に、優しくするの…っ





私が腕の中でようやく落ち着いたのを感じてか、悠乃はそっと腕を離した。





そして優しい目で私のことを見ていた。
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