独占したい、甘々に。【完】
驚く様子の私など無視して、手を繋がれたまま、悠乃に引っ張られる形で校門を潜った。





突然のことに驚きを隠せないでいたが、それと同時に違う気持ちも芽生えていた。





悠乃の温かい体温が手を伝って感じる。





私の手をすっぽりと覆う大きな手。





いつの間にこんなに大人になったんだろうと、少し嬉しいような寂しいような気持ちになった。





「ゆ、悠乃…!あの、手…」





我に返った私は、すぐさま悠乃に声をかける。





流石に高校生にもなって手を繋ぐのってどうなの!?





いくら私が歩くの遅いからって、まだ焦るような時間じゃないし…





何よりも周りに見られながらのコレは恥ずかしさで死んでしまいそうだった。





悠乃が私の手を握った瞬間、どこからともなく女子生徒の悲鳴に似た声が聞こえたのは聞かなかったことにしておこう。
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