*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!

 食後のコーヒーを飲み終えて、このタイミングで雨宮家をお暇しようと決めていた私は、それを口にする。

 「私はこれで…」

 「杏ちゃん、もっとゆっくりして行っても大丈夫なのよ?」

 「いえいえ、十分ゆっくりさせてもらいました。アンジュのこともあるから、そろそろ…」

 「あっ、そうだったわね。ずいぶん大人しくじっと待っててくれたものね。」

 「はい。美味しいお茶とお昼ご飯もありがとうございました。」

 「こちらこそ、コーヒーとっても美味しかったわ。また遊びに来てね。」

 「ありがとうございます。長い時間お邪魔してしまってすみませんでした。」

 千紗子さんとその斜め後ろに立つ雨宮さんにペコリと頭を下げた。

 それからアンジュを連れて玄関に向かった。
 靴を履いてアンジュにリードを着けたところで、千紗子さんが急に「あっ、」と短い声を上げた。

 「ちぃ、どうかした?」

 「柾さんの焼いたマカロン、まだ沢山あるから杏ちゃんに持って帰って貰おうと思ってたんだわ。ちょっと待っててね。」

 そう言ってクルリと踵を返した千紗子さんが、急いで足を踏み出したその時。

 「きゃあっ!」

 スリッパが絡まったのか、彼女は前かがみに体勢を崩した。

 「あぶないっ!」
 「千紗子っ!」

 私が叫んだのと、雨宮さんが千紗子さんに腕を伸ばしたのはほぼ同時だった。
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