*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
昼下がりの川辺をアンジュと歩く私の足取りは、来た時よりもずいぶんと軽い。
雨宮夫妻の朗報が自分のことみたいに嬉しくて、ここ数日間のモヤモヤすらも跳ね飛ばしてしまう。
千紗子さんとの抱擁が済んだ後、雨宮さんが私に向かって頭を下げたことを思い出すと、いまだに心臓がドキドキしてしまう。
雨宮さんは千紗子さんの旦那さまだけど、新米司書の私にとって雲の上のような役職のヒトだ。
おまけに容姿端麗で、男性慣れしていない私にとっては、なんだか直視するのも勇気が要る。(今日は随分とじっくり見た気もするけど。)
そんな雨宮さんに頭を下げられる日が来るとは、夢にも思わなかったのだ。
『千紗子を、よろしくお願いします。』
深々と頭を下げてそう言った雨宮さんに、私は焦り過ぎて思いっきり舌を噛みそうになるほど、動揺した。
何度か『頭を上げて下さい』とお願いすると、やっと彼は面を上げて、今度は私を正面から見つめながら、口をひらく。
『俺は仕事の時の千紗子についていられないから…宮野さんが千紗子を気にかけていてくれると有り難い。千紗子はほっとくとすぐに無理をするから。』
真摯な瞳で、そう頼まれ、私は黙って力強く頷いた。
『ありがとう。』
そう言って微笑んだ雨宮さんは、
『宮野さんが都合がいい時はいつでも遊びにおいで。俺は出張で家を空けることも多いし、君が来てくれると俺も安心だ。もちろんアンジュさんも一緒に。』
『はい、ありがとうございます。』
笑顔で返事をした私に雨宮さんは柔らかく微笑み、『彼と早く仲直りできるといいな』と言った。