*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
(ごめん…って、なんで?)
目の前の彼は頭を下げたままだ。
何も言わずに頭を下げられた私は、彼の真意が掴めずに困惑してしまう。
彼の髪を時々風が揺らして行くのが目に入るが、私は呆然としたまま何も言えずにいる。
(「ごめん」って、別れて欲しいってこと…?)
もはやそうとしか思えなくなって、瞼に涙が溜まり視界が歪み始めた頃、修平さんは下げていた頭をやっと持ち上げ私を見た。
「杏奈……泣かないで。」
まだ落ちていなかったはずの涙が、その言葉と同時にポロリとこぼれ落ちた。
修平さんがその雫を拭おうと私に手を伸ばし、頬に指先が触れた瞬間、私の肩がピクリと跳ねた。
彼は苦しげに眉を寄せて、伸ばした手を自分の方に引き戻すと
「俺に触れられるのは、嫌?」
そう言った。
慌てて大きく頭を左右に振ると、瞼に溜まっていた涙の残りが次々にこぼれ落ちて頬を濡らしていく。
どうして修平さんがそんなことを言うのか、なんで私に頭を下げたのか、どっちもまったく分からなくて、涙に濡れる顔と同じように頭の中もぐちゃぐちゃだった。