*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!

 トクントクンと、規則正しいリズムを刻む音。
 耳に当たる彼の胸から聞こえる、その音の心地よさに身を委ねていた。

 ―――どれだけの間そうしていたのだろう。

 「一目惚れだった。」

 「えっ?」

 なんの前触れもなく頭の上から降ってきた声。

 「今、なんて……」

 反射的に顔を上げようとしたら、背中に回っている腕に動きを止められる。私の動きを遮るみたいに。

 「このままで―――」

 やっぱり言葉でも制されて、彼の腕の中で大人しく次の言葉を待つことにした。 
 「ありがとう」の言葉の代わりなのか、頭上に柔らかな口づけが落ちる。
 
 少しの間黙っている修平さんは、ややクセのある私の髪の毛先をくるくると弄んでいた。

 (修平さん??)

 彼が何をしたいのかさっぱり分からないけれど、されるがまま待つことにする。
 私の髪に触れているのとは反対の腕は、しっかりと私の腰に回され、ぎゅっと密着したままだから、私の心臓はもちろんなのだけれど、意外なことに修平さんの鼓動もドクドクと速くなっている。

 (どうかしたの?なんだか緊張してるみたい……)
 
 修平さんの様子がなんだかいつもと違う気がして、それを聞こうかと口を開きかけたその時―――

 「この河原で初めて杏奈に会った時から、ずっと君のことが気になっていたんだ。」

 春雨のような静かに言葉が降ってきた。

< 128 / 259 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop