*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
 
 「あんまり驚いてないみたいだね、杏奈。」

 「えっ?」

 「初めて聞いた、ってふうには見えないな。もしかして誰かから聞いてた?」

  修平さんの指摘に思わず口ごもってしまった。
  すぐに「違う」と口にしていれば良かったけれど、咄嗟に言葉に詰まってしまったせいで、修平さんに私が図星なのがバレてしまったようだ。

 修平さんはそれまで私を囲っていた腕を解いて、その両手を私の肩に乗せて少しだけ体を離すと、私の顔を覗き込んできた。

 「どこで聞いたの?葵?それとも佐倉さん?」

 「ちがうよっ!」

 全然無関係の人たち名前が出てびっくりして否定すると、修平さんは私を覗き込むような体勢から更に顔を近付けて、「じゃあ誰?」とすこし硬い声で訊いた。

 「……千紗子さんと雨宮さんに。」

 二人の名前を口に出しながらも、本当は嫌だった。
 二人は興味本位や面白半分で修平さんの素性を私に告げたわけではない。
 大好きな先輩のこと、修平さんに誤解してほしくなかった。

 「お休みの日に、たまたま千紗子さんとバッタリ出会って、お家にお邪魔させてもらったの。それで千紗子さんが何かあったんじゃないかって…それで……ちょっともやもやを相談した流れで……」

 「もやもやしてたのって、俺のせい?」

 「………」
 
 気まずいまま離れ離れになっていたから、もやもやしていたのは修平さんとのことだけど、でも修平さんのせいとは違う。

 なんて言っていいか分からずに視線を泳がせていると、テノールの声が優しく耳に届く。

 「杏奈。さっきも言っただろ?俺は杏奈のことならどんな些細なことでも知りたいんだ。杏奈のことならどんなことでも受け止めたいから、俺に遠慮なんかしないで何でも言って?何を聞いても杏奈に怒ったりはしないから。」

 「修平さん……」

 そう言って私を見つめる彼の瞳は、声と同じようにやっぱり優しい。

 「あのね……」

 私は、たどたどしくではあるけれど、GW中に図書館の隣の公園で出会った女性の話から千紗子さん夫婦に相談に乗って貰った話までを、少しずつ修平さんん打ち明けた。

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