*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
「ピッ」「ピッ」という電子音が、館内のアチコチから絶えず耳に入ってくる。
私の手もとでも同じ音が出ていた。
ふぅっ、と息をついて、ハンディターミナルを片手に斜め後ろを振り向く。
「千紗子さん、ちょっと一息つきませんか?」
「そうね、そうしましょうか。」
手に持っていた蔵書を書架の棚に戻すと、私は踏み台の上からよいしょ、と床へ降りた。
(ちょっと腕が重い、かも……)
棚から本を出しては入れ入れては出し、をずっと続けていて固まってしまった腕を、グルグルと回してみる。
そんな私の肩をトントントン、と叩く手があって、振り向くと千紗子さんが立っていた。
「これくらい大丈夫ですよ?」
そう言ったけど、千紗子さんの手は止まらない。
「ごめんね、杏ちゃんにばっかり大変な所を押し付けて…。」
リズミカルに私の肩を叩きながら、申し訳なさそうに千紗子さんが言う。
「そんなことないですよ。低いところもけっこう大変じゃないですか?しゃがんでるのがきつかったら言ってくださいね、千紗子さん。」
二人一組で同じ箇所を担当している私と千紗子さんは、ハンディーターミナルでバーコードを読み込むに当たって、私が書架の一番上から半分の棚を、千紗子さんが半分から下の棚を、それぞれの担当として分け合ったのだ。
妊婦さんに踏み台作業なんてさせられるわけない。