*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
「えっ、今なんて…?」
「やっぱり杏奈には敵わない、って言ったんだ。」
顔の半分を手で覆った修平さんは、まるで私の視線から逃れるように顔を背けたままだ。
「……修平さん?」
私は彼のすぐ隣に同じようにしゃがみ込んでみた。ドレスの裾が床につかないように足の上に何とか乗せる。
そうして彼の次の言葉をじっと待った。
しばし黙ったままだった修平さんは、「は~~~」と大きな息を吐き出すと、ポツリポツリと話し出した。
「怒ってたわけじゃない……正直、驚いたけど。」
「だ、だよね……」
「壇上で杏奈の姿を見付けた時は心臓が止まるかと思ったし。お陰であのスピーチで何を話したかなんてほとんど覚えてない……。」
思いも寄らないカミングアウトに、私は言葉を失う。
(あんなに堂々とスラスラ話してたのに!?)
そう思ったけれど、彼を驚かせてしまったことは申し訳ないと思う。
「ご、ごめんなさい…嘘ついて黙って来てしまって。」
「いや、それは怒ってないから大丈夫。どうせ葵が仕組んだんだろ?」
「えっ!どうしてそれを!?」
「あいつが企みそうなことだからだよ。俺に内緒で杏奈を連れて来て、俺が驚く顔が見たかったんだと思う。」
修平さんの答えに納得。
今日は仕事中のクールな遥香さんだったけれど、プライベートの彼女が少し悪戯好きで茶目っ気のある性格なのは承知済みだ。