*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
玄関で靴を脱いで家に上がった私は、ひとまず自分の荷物を置きに部屋へ向かう。
数歩足を進めたところで、背中から声が掛かった。
「杏奈、どこ行くの?」
振り向くと修ちゃんは玄関でアンジュの足を拭いている。
「この荷物置いて着替えてくるね。」
手に持った小さ目のボストンバッグを持ち上げながらそう答えると、修ちゃんは
「そっちじゃないよ。」
と言った。
なんだか修ちゃんとの会話が噛みあわない。
(ちょっと変だな)と感じながらも私は、踵(きびす)を返して彼の方へ引返す。
玄関から伸びる廊下は二つあって、一方はゲストルームやゲスト用のシャワー室がある方へ、もう一方は修ちゃんや亡くなったお祖母さまのお部屋、バスルームなどがある方へと伸びている。
最終的にはどちらもキッチンとリビングダイニングの部屋に繋がっているのだけれど、どちらかというと後者の方が利用頻度は多い。生活の主な同線で活躍するのはそちらの方だった。
アンジュの足を拭き終えた修ちゃんが、玄関の分かれ道で立ち止まっている私の手を取り歩き出す。
「え、え??」
意味不明のまま彼に手を引かれて、着いて行く。
修ちゃんの足はすぐに止まった。
(ここ…お祖母さまのお部屋……)
修ちゃんはその部屋のドアノブに手を掛けた。