*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!

 「杏奈が謝ることなんて何もないよ。寝ててくれて全然良かったんだ。」

 修ちゃんの優しい言葉に、おずおずと頭を上げる。
 それでも申し訳ない気持ちは消えず、もう一度謝ろうと口を開くと、私が話すより先に修ちゃんが話し出した。

 「杏奈の寝不足は俺のせいだしね。」

 言いながら俯いた私の横髪を、修ちゃんはそっと掬って耳に掛けた。

 耳に触れる指先に、ゆうべのアレコレが甦って「ひゃっ」と首を竦める。
 それを見た修ちゃんはくくっと短く笑って、私の頭を再び撫でた。

 「それに隣で気持ち良さそうに眠ってる杏奈がとっても可愛くて癒されたから大丈夫。」

 修ちゃんは楽しそうに笑いながら、ワシャワシャとまるでアンジュを撫でる時のような手つきで私の髪を掻き回すと、「とりあえず降りようか。杏奈に渡したいものがあるんだ。」と言って車から降りた。

 (渡したいもの??なんだろう……)

 思い当たるものと言えば、誕生日プレゼントなのだけど、それなら既に貰っている。


 今朝ベッドの中で目を覚ました私に、『誕生日おめでとう、杏奈』と言って優しいキスをくれた修ちゃんは、旅館を出る際に全部の支払いを一人でしてしまった。

 『自分の分くらいは出すから』と食い下がる私を、修ちゃんは『誕生日だから』と押し切った。

 だから私は、この旅行が彼からのバースデープレゼントなのだと気が付いたのだ。
 なんて素敵な誕生日の贈り物なのだろう。本当に夢みたいな二日間だった。


 「待って、修ちゃんっ」

 混乱している間にすでに彼は車から荷物とアンジュを下ろし終えて、家に向かっている。
 私はその後姿を慌てて追いかけた。 



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