*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
出来上がった揚げ物をテーブルに運ぶと、テーブルの上にあるビールの空き缶が目に入った。
空き缶を掴もうとした瞬間、スッとそれが宙に浮いた。
「杏奈は座って。揚げ物お疲れ様。」
両手に空き缶を持った修平さんが、私を見下ろしながらそう言って、そのまま空き缶を右手に二缶、左手に一缶、器用にキッチンに持って行く。
「ありがとう。」
その後姿にお礼を言うと、彼が少し振り返って、目を細めて微笑んだ。
いつも私を気遣ってくれて、修平さんは本当に優しいな、と思いながら自分の席に腰を下ろした時、テーブルの向かいから声を掛けられた。
「杏ちゃんは明日は仕事だって、修平くんが言ってたけど、何のお仕事なの?祝日勤務ってことはサービス業か何か?」
「はい。サービス業、に当たると思います。私、図書館で働いてるんです。」
「そうなんだ~。サービスはサービスでも行政サービスなのね。」
遥香さんが、「納得」と言う顔で頷いている。
「そういえば、遥香さんは修平さんと同じ会社で秘書さんだとお伺いしましたが、戸部さんはどんなお仕事をしていらっしゃるんですか?」
「健太郎、でいいぞ。俺は弁護士だ。」
「べ、弁護士さん!?すごい…」
「健太郎はうちの会社の顧問弁護士事務所で働いているの。というか、お義父さまが所長で、うちの会社の顧問弁護士、って言った方が早いかしら。」
「うわ~っ、健太郎さんは、弁護士さんで御曹司さんなんですね!」
大口をあけて驚きの声が出た。
何だかすごい方と知り合ってしまった、と思いながら、開いた口を両手で押さえる。
「御曹司って……柄じゃねぇな。」
斜め前では、健太郎さんが気恥ずかしそうに後ろに手をやって、ポリポリと頭を掻く。
隣では遥香さんが口に手を当ててクスクスと可笑しそうに笑っている。
「そうね、御曹司って健太郎よりもむしろ」
「持っててもらったワイン、開けて良いか?」
遥香さんが言いかけた途中で、キッチンからワインとグラスを手に修平さんが戻ってきた。