*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
 「そうだわ、デザートにしない?」

 両手をパチンと合わせた遥香さんが、そう言った。

 「そうでしたね。持ってきていただいたデザート、出しましょう!」

 『デザート』という響きに、さっきまで落ち込んでいた私の心が一気に浮上する。

 「私、用意してきます。」
 
 そう言って立ち上がると、すかさず隣の修平さんも立ち上がって、

 「俺も手伝うよ。」

 と言って一緒にキッチンについてくる。

 「じゃあ、私はコーヒーを淹れるね。修平さんはこれを持って行ってくれる?」

 冷蔵庫からデザートの箱を取り出して彼に渡すと、「了解」と軽やかな返事をくれる。

 私はやかんを火に掛けて、コーヒーの準備を始めた。


 「「おいしいっ!!」」

 遥香さんと私の声が二重唱を奏でる。

 「このコーヒー、ものすごく美味しいわ、杏ちゃん。」

 「ありがとうございます。このフルーツタルトも、すご~~く美味しいです!」

 「喜んでもらえて良かった。ねえ、これって何か特別なコーヒー豆、使ってるの?いままで飲んだコーヒーの中でも格段に美味しいわ。」

 「ありがとうございます。特別な豆ってことはないんですが、実家で使っているものを分けて貰ってるので…」

 「杏奈のお父さんは喫茶店をやってらっしゃるんだよね。」

 私の言葉を引き継いだように、修平さんが遥香さんに説明する。

 「そうなの?にしても、美味しいわね。」

 「だろ?杏奈の入れるコーヒーはプロ直伝で、ホントに美味いんだ。」

 「ぷ、ぷぷっ…」

 「なんで笑うんだ、葵。」
 
 「だって、修平くんが自分のことみたいに自慢してるから。そんな修平くん、職場では見たことないわ。」

 「……」

 遥香さんの指摘に、バツが悪そうに顔を背けた彼の耳が、赤く染まっている。
 そんな修平さんを助ける為か、健太郎さんが口を開いた。

 「本当にうまい。この味ならいますぐにでも店が開けるな。」

 「そんなことはないですよ…。」

 手放しで褒められて、なんとなくむず痒い。
 気恥ずかしくなった私は、この話題を変えたくて、全然別のことを口にした。
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