*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
更衣室で着替えを済ませて、職員用出入り口を出ると、見慣れた黒い車が道路の向かいに泊まっているのが見えた。
(また修平さんを待たせちゃった!)
車に駆け寄ろうと一歩足を出したその瞬間、疲れでぼやけた頭に、昼間の光景がフラッシュバックした。
『彼はうちの会社の御曹司なんだから!』
甲高い声が脳裏に響く。
心臓が痛いくらいにキューっと縮まる。
辺りはもうすっかり暗闇に包まれていて、街灯の光が車を照らしている。
その車の輪郭をじっと見つめながら、止まってしまった足を一歩踏み出した時、運転席のドアが開いた。
スッと慣れた動作で車から降りてきた修平さんが、私のところに足早にやってくる。
私は重たい足を一歩ずつ彼の方に進めた。
「お疲れ、杏奈。」
私の目の前までやってきた彼が、そう言いながらさりげなく私の荷物を持ってくれる。
「お迎えありがとう。」
「疲れたでしょ?さ、乗って。」
助手席のドアを開けて、私に乗るように促した彼は、私がシートに座るのを確認してからドアを閉めた。