*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
 滑るようにゆっくりと車が発進する。修平さんの運転はいつも丁寧だ。
 ゆったりとしたシートに身を預けると、車の程よい揺れも手伝って、私の体から力が抜けていく。

 「やっぱり疲れてるんだね。」

 「うん…さすがに今日は大変だったから…」

 「そっか。着くまで寝ててもいいよ。」

 「平気。すぐだもん。」

 本当は体も瞼もすでに重いけれど、家までは十分足らずだし、せっかく迎えに来てくれた修平さんに甘えてばかりはいられない、と思った。

 とはいえ、車に乗る前に思い出した出来事が心に引っ掛かって、気持ちが鉛のように沈んでいる。
 
 (あの女性が言ったこと、本当なのかな…)

 その可能性は十分にある、と思う。

 最初に彼の家に来た時に、高級住宅街の中にある一際大きなお屋敷に、びっくりしたのを思い出す。
 門や塀も立派だし、庭も家もとても広くて、住む世界の違う人なんだ、と感じたのだった。
 アパートの火事で住むところが無くなって居候させてもらっている間に、ハウスキーピング会社の方とも知り合った。

 (平凡な私とは全然違うって、最初から分かってたじゃない…)

 彼の優しさに甘やかされている間に、すっかり彼を身近に感じるようになっていたけれど、本来ならあり得ないことなのだ。

 窓の向こう側に見える街の明かりをぼんやりと目に移しながら、そっと瞳を閉じる。

 (なんだか疲れちゃったよ…体よりも頭が重たいかも…)

 意識が薄れゆく中で、私はぼんやりと思った。

 (それでも…今は、彼の隣に、いたいよ…)



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