クールな御曹司の甘すぎる独占愛
「すぐに入れ直してきます」
立ち上がりかけた奈々の手を水瀬がつかむ。反射的に見た水瀬は優しく笑った。
「大丈夫だよ。これで十分」
水瀬の笑顔には、心拍数を極度に上げる力があるように思えてならない。奈々はその笑顔を見るたびに、自分の心臓がいつ限界を迎えるのか心配になる。
「そ、そうですか……。それじゃ、これから水瀬さんにコーヒーを入れるときは、熱くないか確認してからお出ししますね」
そこまで言ってから、奈々は自分が爆弾発言をしたのではないかと悟る。その言い方では、これからも水瀬を部屋に招き入れ、コーヒーを振る舞うように聞こえる。
「そうしてもらえると嬉しいよ」
水瀬がそっと奈々の手を引き寄せ、彼との距離が一気に縮まる。もう片方の手が奈々の頬に触れた。
ビクンと奈々の肩先が揺れる。それと同時に鼓動が猛スピードで上昇し始めた。