クールな御曹司の甘すぎる独占愛

「花いかだという料亭の女将さんなの。実は、そこの水菓子にうちの和菓子を出してもらう方向で話が進んでいて」


ショーケースから和菓子を取り出しながら奈々が小声で言うと、「花いかだ?」と明美が目を見開いた。


「知ってるの?」
「セレブご用達の料亭で有名ですよ。政財界とか芸能界の人なんかがこぞって通うお店だそうで。葉山に二号店の構想があるとか」
「詳しいのね、明美ちゃん」
「はい。毎晩ネットでいろいろ情報収集していますから」


明美は胸を張り、両手を使ってピースサインをした。

奈々は普段からネット関係には疎く、SNSも正直わからない。本来であれば、そういった手段を使って光風堂をもっとアピールすべきなのかもしれないと、ふと奈々は思った。


「でも、その店に光風堂の和菓子を出してもらえるなんてすごいですね」
「まだ確定したわけじゃないの。彼女は多分、それを見極めるためにここに足を運んだんだと思うわ」
「うわぁ、それは緊張しますね」

< 109 / 322 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop