クールな御曹司の甘すぎる独占愛

◇◇◇

「さっき出していただいた和菓子って、これですか?」


流暢な日本語で声をかけてきたのは、中国人らしき女性グループだった。ショーケースを覗き込んであじさいかんを指差す。


「はい、そうです。昨日完成したばかりの新作で、色づけした寒天で白あんを包んでいます」
「とても綺麗」


奈々の説明にうなずきながら、女性は後ろにいるほかの女性たちと中国語でやり取りをする。

奈々は中国語はわからないが、おそらくあじさいかんの説明をしてくれているのだろう。身振り手振りからそう推測できた。


「では、それをえっと……八つください」


指折り数えてから女性が注文をする。


「ありがとうございます!」


奈々は笑顔いっぱいに返す。
あじさいかん、初のお客だった。

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