クールな御曹司の甘すぎる独占愛

「明美さん、実はそうなんだ。これからはちょくちょく顔を合わせるかと思うからよろしくね」
「明美ちゃん、そうなの」


水瀬に奈々が続く。
まるで切り取った写真のように明美はしばらく口をあんぐりと開けたままでいたが、不意に意識を取り戻した。


「突然すぎてびっくりです」
「そうですよね。驚かせてすみません」
「いえいえ! お似合いのおふたりですから! これからどうぞ奈々さんをよろしくお願いします」


明美は深く頭を下げたかと思えば、無理やり取る形で水瀬の手を握りぶんぶんと上下にシェイク。そして大きく手を振りながら店を出て行った。

水瀬と明美の背中を見送り、ふたりで顔を見合わせる。


「すごく元気な女性だね」
「はい、いつも彼女の明るさに助けられています」


売上が不振でも、彼女の朗らかな人柄のおかげで店が暗く陰気なものにならずに済んでいる。それは明美のなせる業だろう。

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