クールな御曹司の甘すぎる独占愛

客で来たわけではない? ではなんだろうか。
奈々がポカンとしていると、佐野は小さくため息を吐いた。


「メシでも食いに行こう。話があるんだ」


そう言いながら足を踏み出した佐野を奈々は「待って」と引き留める。


「ごめん。一緒に食事には行けない」
「……なんで?」


佐野は眉をひそめ、ゆっくりと身体を反転させた。


「実は……」


晶と正式に付き合う以上、ほかの男の人とふたりきりで食事に行くわけにはいかない。そういった点で奈々も律儀な性格かもしれない。


「この前の電話の男?」
「え?」
「俺が奈々に電話したときに男の声がしただろう。アイツとまさか……」


晶に連れられて花いかだに行ったときのことだ。車を降りたタイミングで奈々のスマホには佐野からの着信があり、話している最中に晶がわざと聞こえるように“奈々”と呼んだことを思い出す。

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