クールな御曹司の甘すぎる独占愛
◇◇◇
その日の閉店後。奈々が店を閉めてエステラの通用口から出ると、少し離れた木立のそばに佐野が立っていた。晶と光風堂で鉢合わせして以来になる。
奈々を見つけ、佐野が駆け寄った。
「奈々、お疲れ」
「佐野くん、どうしたの?」
佐野がこうして奈々を待っているのは初めてだ。光風堂に直接来るのが常だった。
「どうしたのじゃないよ。昨日から何度か連絡入れてるのに、ぜんぜん折り返しもメールの返信もないから、なにかあったのかと思ったじゃないか」
「あ、ごめん……」
奈々はギクッとした。佐野からの着信とメールに気づいたのは、晶に送り届けられたあと。夜の十時を過ぎていたため、電話もメールも控えたのだ。朝を迎えたら、今度は仕事があったためうっかり忘れていた。そうとは決して言えないが。
「でも、どうしてここで待ってたの? お店に顔を出してくれればよかったのに」
「今日は客で来たわけじゃないから、邪魔しちゃ悪いと思ってさ」