クールな御曹司の甘すぎる独占愛
佐野が畳みかけるように質問をする。なにかを期待するかのように瞳が揺れていた。
どうって……。
言葉に窮する奈々を見て、佐野の目に落胆がにじむ。かといって、彼を喜ばせるようなことは言えない。無責任すぎるから。
「はぁ……、なんとも思わないか」
肩を上下させた佐野の口から大きなため息が漏れた。
「だからね、びっくりしたって」
「そうじゃなくて。心が揺れたりしなかったかって」
奈々の気持ちが完全に晶に向いている以上、揺れようがない。ただ、そこまではっきりとも言えず、奈々は目を瞬かせて佐野を見つめるばかり。
「可能性ゼロか」
奈々がなにも言わずとも理解したらしい。佐野はさっきよりも大きく息を吐き出し黙り込んだ。
ふたりのやり取りを遠巻きに見ながら、ホテルの従業員が通用口から次々と出てくる。