クールな御曹司の甘すぎる独占愛
このまま放って帰るわけにはいかず、佐野が動きだすのを奈々はひたすらじっと待った。
「わかったよ」
数分後、佐野がようやく口を開く。吹っ切れたよりは、諦めにも似た表情だ。
「玉砕確定。ま、グズグズしてた俺の痛恨のミスだな」
「……ごめんね」
「余計に惨めになるからよせよ」
思わず謝った奈々の肩を佐野が軽く小突く。
確かに佐野の言うとおりかもしれない。自分が逆の立場だったら、謝られたくない。
「じゃあ、俺が振られた記念で、一杯付き合ってくれよ」
「ううん、行けない」
「そのくらいいいだろう?」
「ダメだよ」
もしも晶の耳に入ったら、きっといい気分はしないだろう。晶が別の女性とふたりきりで食事をしたら、奈々だって平静ではいられない。
「固いな、奈々は」
「彼を傷つけたくないから」