クールな御曹司の甘すぎる独占愛

「奈々さん、まさかミヤビがうちの和菓子を買ってくれるなんて信じられないです……!」


明美は声と手を小さく震わせた。

これまでにも女優や俳優が買いにくることは稀にあった。だが、プライベートで来店しているのに《◯◯さんですよね?》と不躾に聞いたりはしない。

ところがミヤビの場合はそれを隠し立てせず、むしろ自分から女優だと名乗り歩いているような感じだ。


「大変お待たせいたしました」


奈々が箱を袋にまとめてレジカウンターに置いたときだった。
ミヤビの顔がパッと華やぐ。大きな目をさらに開き、唇が三日月のようになった。


「晶!? うそでしょう!? どうしてここに晶がいるの?」


ミヤビの口から晶の名前が飛び出す。彼女は蝶のようにふわりと晶の元へ走り寄った。

晶さんと知り合いなの……?

突然のことに奈々は言葉も出せない。和菓子の箱に手を添えながらふたりを驚きの目で見る。

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