クールな御曹司の甘すぎる独占愛

◇◇◇

翌日の奈々は、昨日の不安が幻だったかのように晴れやかな気分だった。
それは、晶がどのくらい奈々を愛しているか、身を持って思い知らされたおかげでもある。

明け方近くまで愛の言葉を囁き合い、飽きることなく何度もお互いを求めた。睡眠時間はごく僅かなのに、不思議と眠気を感じない。それどころか、身体の奥から力が湧いてくるのだから、晶の愛の力は強大だ。


「あっ、これじゃない?」


奈々がショーケースの商品を手直ししていると、ちょうどお昼を迎えた店内に明るい声が響いた。奈々が顔をあげて見てみれば、奈々と同世代のOL風の女性がふたり、並んでいる和菓子に揃って顔を近づける。ランチタイム中か、財布とスマホだけを手にしている。


「そうそう、これこれ」


どこかで光風堂の和菓子の話題でもあがったのか、ふたりは目当てのものを見つけて喜んだ。


「いらっしゃいませ」


奈々がかけた声に顔を上げる。

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