クールな御曹司の甘すぎる独占愛
唐突に晶の名前を出され、奈々は面食らう。
もしかしたら、また和菓子の注文をもらえるかもしれない期待があったせいだ。だが、そんなことを聞いていったいなにが面白いのか。
「水瀬といつから付き合ってるの?」
「それはお答えしなければいけませんか?」
「そうしてもらえると嬉しい」
そんな情報を聞き出して、宮内がどう嬉しいのかが奈々にはわからない。ただの興味本位だろう。
「個人的な質問にはお答えしかねます」
「そんなつれないことは言わないでよ。また大きな注文を入れようかなって考えているんだから」
目の前にエサをぶら下げられ、奈々が戸惑う。店の売上アップは、奈々が最も図らなければならない事項。人件費や原価を引き下げられない以上、売上を稼がなければ利益を見込めない。全面的に協力してくれている清人や明美をはじめ、相談に乗ってくれている晶にも、売上が回復している吉報を届けたい。
「簡単な質問に答えるだけで、何十万っていう仕事が舞い込むんだよ? それがおいしいと思わないようなら、キミは経営者失格かもしれないな」