クールな御曹司の甘すぎる独占愛
◇◇◇
花いかだに到着した奈々は、すぐに依子に奥の個室へ案内された。こちらに顔を向けてテーブル席に座る宮内は、唇の端にだけ笑みを浮かべる。苦手意識をすでにもっているからか、奈々にはそれが笑顔には見えない。
「よく来てくれたね」
「私にお話があると伺いましたが……? またご注文をいただけるのでしたら、お電話でも大丈夫です」
事務的に告げて立ったままでいる奈々に宮内は、「とりあえず座って」と向かいの席を勧めた。テーブルにセッティングされた箸を見て、話をするだけで終わらない状況だと奈々は悟る。これから料理が運ばれてきそうだ。
そう考えた矢先、開いたドアから着物姿の若い女性が先付を運んできた。
「どうぞおかけください」
スタッフにまで言われ、ぼんやりと突っ立ったままではいられない。奈々は「はい」と小さく答え、椅子に腰を下ろした。晶以外の男性とふたりになるのは避けたかったが、逃げられそうにもない。
「水瀬とはいつから?」
「……はい?」