クールな御曹司の甘すぎる独占愛

「別れました。だからこれ以上、晶さんを苦しめるのは止めてください。晶さんが会社にいられなくなるようにするのはもう止めて」
《もちろんよ。エージェンシーにストップをかけるわ》


ふふふと笑うミヤビの声に耳を覆いたくなる。

ミヤビはやはり、晶の会社に手を回していたのだ。それを知って奈々の手が震える。


なんて人なの。ミヤビさんだって晶さんを好きなんじゃないの? その彼を苦しめるなんて……。


《だけど、どうしてもっと早くそうしなかったの? そうすれば、あなたの店だってなんともなかったのに。今、大変でしょう》


ミヤビはまるで歌を歌うような節をつけた。奈々の置かれた状況をおもしろがっているようにすら感じる。


「……ミヤビさんは本気で人を好きになったことがないんですね」


奈々の心の声が、つい唇からこぼれた。もはやそうだとしか思えなかった。上辺だけの気持ちで、心から愛してなどいない。だから、こんなにひどいことが平気でできる。

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