クールな御曹司の甘すぎる独占愛

「なるほど。それじゃ冷凍するのは?」
「冷凍は可能ですが、やはりお客様にお出しする商品ですので……」


風味はどうしても落ちるから、その日に作ったものを出したい。


「よし、それじゃ、ここにあるものをすべて買っていくよ。これから社に戻るから、みんなへの土産にしよう」
「……はい?」


奈々と明美は揃ってポカンと口を開ける。

すべて買うって、このショーケースに並んでいるものを全部……?

奈々は信じられない思いで水瀬を見上げた。


「ダメかな?」
「い、いえっ、ダメだなんて。でも、たくさんありますが……」


ケースの中には先ほど水瀬たちに出した桜もちと菜の花もちのほかにも、桜の花の塩漬けを寒天で固めたものや、ひとくちみつまめ、うぐいすもちなど、何種類もの和菓子が残っている。それらをすべてとなると、総額にして四万円ほど。

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