クールな御曹司の甘すぎる独占愛
「フードペアリングやマリアージュで言ったら、俺たちはコーヒーと和菓子に負けないくらいの高ポイントだと思わない?」
「……はい?」
晶がなにを言いたいのかわからないのだろう。奈々が首を傾げて見つめる。
「奈々、結婚しよう」
奈々の吐息を感じる距離で晶は囁いた。それは日本を発つ二年二ヶ月前から晶が心に決めていたことだった。必ず最短で帰国を果たし、奈々を本当の意味で手に入れる。
だからこそ、スイスでの仕事にがむしゃらになれた。おかげであちらでもエクセル・コンサルティングの名は業界でも有名になり、支社長の右腕としての職務をまっとうできたのだ。最短の二年には二ヶ月オーバーとなったが。
もう奈々から離れない。
「返事は?」
奈々は固まったまま微動だにしない。まばたきもせず、晶を呆然と見つめる。しばらくして、ゆっくりと唇が動いた。
「……本気ですか?」
「冗談で言うことじゃないよ」