クールな御曹司の甘すぎる独占愛
察しのいい柳を前に、水瀬はつい反応が遅れる。水瀬が口を開こうとするより早く、柳が次の言葉を続けた。
「奈々さんって美人でかわいいですよねー。なんかこう一生懸命っていうか健気っていうか。あの若さで和菓子屋を経営しているなんてすごいですし」
「そうだな」
気のないふりをしつつ、水瀬はカバンを準備し始めた。
六時まであと五分。ここから光風堂までは歩いて十分とかからない距離にあるが、このぶんだと閉店時間を過ぎそうだ。
「彼氏とかいるのかな」
柳のひと言に水瀬の手が止まる。
「……いなかったらどうなんだ?」
柳の答えを聞き漏らさないよう、耳に神経が集まるのを水瀬は感じた。
「いや、僕、立候補しちゃおうかなとか思って」
柳が顔をくしゃっとさせて頭を掻く。