クールな御曹司の甘すぎる独占愛
「お店のほうはどう?」
「うーん……なかなか厳しいかな」
「そっか。大小にかかわらず、会社や店を存続させていくのって大変だよね……」
ここまで百年間、よくぞ無事でいられたと奈々も思う。きっとその時々で経営が思わしくない時期もあっただろう。
そのときはどうやって立て直していったのか、祖父母や両親が生きていた頃にもっと話を聞いておけばよかった。
「でも、頑張るから」
奈々が父親からバトンタッチして、まだ一年ちょっと。ダメだと結論を出すには早すぎる。
「おっ、奈々も逞しくなったね」
「うん」
そうならざるを得ない。
「それにね、経営のことを相談できる人ができて」
「そうなんだ! それはよかったぁ。私じゃ話にならないもんね」
「真弓はこうして話を聞いてくれるだけで十分なの。美弥ちゃんも私の癒し」
そう言いながら、奈々は美弥の頬をそっと指先で撫でた。やわらかくて気持ちがいい。