虫も殺さないような総長に溺愛されています
瞳孔が完全に開いて次から次へとその猛威を振るうイチカ君はいつもの少女的装いなのに今は男の子にしか見えない。
これは一人で片付いてしまうんじゃ?なんて思っていたけれど、攻撃を仕掛けている背後を狙った攻撃には分が悪すぎる。
容赦なくイチカ君に振り下ろされた鉄パイプに「あっ、」なんて声を漏らすも……不要だった。
そんな声を漏らしたと同時に振り下ろしていた人間が見事に吹っ飛んで地面に這いつくばったのだ。
カナイ君の奇襲で。
「何、俺のイチカに手出そうとしてんの?」
おおお、さすがカナイ君。
顔が一番それらしいが為にこういう場面では一番映えてイケメンだ。
そして、相手をフッ飛ばしたその青バケツ、一体何が入ってるのかな?
絶対に空っぽのバケツじゃないよね?
ほら、今もなんか中で重たげな固形物がゴロゴロ言ってるし。
そんな狂気の青バケツを駆使し、イチカ君とこれまた絶妙な連携を取りながら人数を減らす姿に『多勢に無勢』なんて言葉はどこかに飛んでしまう勢いだ。
最早勝敗はついたのでは?
そんな予測もチラつく相手としては分の悪い場面に、一人違う行動をとったのはリーダー格であろう男の姿だ。
敗戦を感じた途端に一目散。仲間なんてそっちのけに入り口に逃げだす姿には『マジか』と全力で呆れた。