国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
今にもつま先で裾を踏んで転んでしまいそうになりながら、ミリアンはセルゲイを筆頭に数人の兵士に囲まれて謁見の間ではなく、玉座の間まで連れてこられた。大きな分厚い扉と対峙していると、閉まっているにも関わらず扉の向こうから何百人という人の気配が感じられた。そしてミリアンの前で悠然と立ちふさがっていた扉がゆっくりと開き始めた。
(す、すごい……)
吸い込まれそうな大きな空間が開けて、ミリアンの眼前に光の渦が巻いていた。しかし、そこはただの光だけではなかった。それはまるで激しく刺すような人の視線だった。中央に敷かれたベルベットの絨毯がその人だかりを割くように玉座へと伸び、左右には何百人というラタニアの騎士及び兵士たちが層をなして連なっていた。
「惚けていないで玉座の前まで歩け」
「はい」
セルゲイがぶっきらぼうに言うと、ミリアンは頷いて足を踏み出した。
(す、すごい……)
吸い込まれそうな大きな空間が開けて、ミリアンの眼前に光の渦が巻いていた。しかし、そこはただの光だけではなかった。それはまるで激しく刺すような人の視線だった。中央に敷かれたベルベットの絨毯がその人だかりを割くように玉座へと伸び、左右には何百人というラタニアの騎士及び兵士たちが層をなして連なっていた。
「惚けていないで玉座の前まで歩け」
「はい」
セルゲイがぶっきらぼうに言うと、ミリアンは頷いて足を踏み出した。