国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
彼らから向けられる視線。それはミリアンへの好奇そのものだった。左右に近衛騎士を構える前方の玉座にはまだ誰も座っていない。おそらく、あそこにレイが腰を落とすはずだ。ミリアンは高鳴る胸を小さな呼吸で押さえつけて一歩、そしてまた一歩と足を踏みだした。

「昨夜のこと、聞いたか?」

「あぁ、彼女があの暴れ狂う緑竜を宥めたのだろう?」

「あの娘、罪人としてここへ連れてこられたんじゃなかったのか?」

「一体、何者なんだ?」

歩いている途中でひそひそと話す兵士の会話が聞こえた。それに気づいてミリアンは一瞬怖気づきそうになったが玉座の前へ視線を定め、歩いた。そして玉座への檀上へあがる階下でミリアンは足を止める。

(どうしてかわからないけれど、緊張する……)

こんな大勢の視線を感じたのは初めてだ。ミリアンは自身を落ち着けようと、深くゆったりと息を吸い込んだ。その時。

「レイ国王陛下の御成り――!」

高らかに告げる声がすると、一斉に兵士たちが傅き片膝をついて頭を垂れた。

「おい、突っ立ってないで頭を下げないか」
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